<7003 Project 思考錯誤> 03-9-7

JG1RVN 加藤さんの発案により、7003KHz(QRPバンド)の水晶の共同購入が始まった。
20個集まればとスタートしたが、なんと、50人により170個を越える応募があった。
40mでのQRPに興味を覚える方々がいかに多いかを物語っている。
この募集によりSWLのRockMiteは突然日本からの多くのバックオーダーを抱える事になった。
当局は既にRockMiteを購入し組み立て、そのすばらしさを堪能しているので、この7003をどう使うかを考え、オリジナリティを出せないか検討してみた。
勿論、オーダーした(6個)一部の水晶はRochMiteに搭載予定である。

案1)XBYバージョンRockMiteもどきを作る。
案2)XBYバージョンPixie2もどきを作る。

RockMiteの良さはすでに解っているが、0.5W機となると電池駆動は難しくなる。
7003ProjectのMLでは「ALTOIDS」の缶の入手で盛り上がっており、7003の住まいはどうも「ALOTOIDS」サイズで決定のようである。
当局は、米国出張で手に入れた缶が数個あるので入手は問題無いとして、問題は、この中に何を入れるかである。
やはり、この中に、電池を含めアンテナ以外全ての機能を入れて完成させたい。
かといって、Pixie2は、ダイレクトコンバージョン受信機に付き物のAMの通り抜けがある。
RockMiteのすばらしさは、DC受信機ありながら入力段の水晶フィルタで見事にAMの通り抜けを解決している。
Pixie2にはそのシンプルさに価値があることを知りながら、「ALTOIDS」サイズにこだわり、実用に耐えるTRXの実現に挑戦してみようかと思ったのが、苦労の始まりである。

1)Pixie2の試作
 何を隠そう当局はPixie2なるものを作ったことが無かった。
 まず、オリジナルを作ることから始めた。作るといっても、2個のTRと1個のICである。
 全て、同じ定数(特にインダクタ)の部品は手持ちに無かったが、1時間ほどで組みあがった。予想に反し良く聞こえる。ゲルマラジオレベルと予想したが使えそうである。但し、夜になるとAMの通りぬけはすざましい。

2)入力水晶フィルタ
 RockMiteと同じ定数で水晶フィルタを追加してみた。効果抜群である。AMの通りぬけは殆ど無くなった。
 問題は、このまま送信に耐えるかである。MLでたずねてみたが加藤さん以外からは返事無し、Webで水晶メーカーのサイトを探してやっと見つけた。1mW以上は加えてはならないとなっていた。
 ためしに、この状態で送信してみたが、出力は1/10以下となり、水晶が熱くなってきた。やはりだめである。

3)LCフィルタ
 水晶がだめならLCがあるさとばかり、LCフィルタで実験を行った。その前に水晶フィルタのf特を測り、LCと比較した、水晶の-30dBとはいかなかったがAM帯域で-20dB以上とれている。その効果は同じであり、AMの通りぬけは殆どない。
 FRMSによるf特の測定であるが、挿入損失はない。これはいけるのではと期待して送信したが、出力は水晶と同様に大きく減衰している。理屈はわからないが現実である。

4)切り替え回路
 こうなれば、受信のときはフィルタを通し、送信のときはフィルタを通さない回路にするしかない。
 加藤さんからは、複雑になればPixie2が6〜7になると助言され、メカニカルSWでの切り替え案を提案していただいたが、フルブレークインのコンセプトを踏襲したい気持ちを押さえきれず、机上での検討からスタートし、現段階で、部品4点追加で何とか使えそうな切り替え回路に到達した。
 切り替えダイオードはこれも理屈はわからないが、小信号用はだめで、電源整流用シリコンダイオードを使用している。

以下、測定したフィルタの特性と、試行錯誤の結果の回路図を示す。



図2.の回路図での特性(水晶の特性そのものである:AM帯域も-30dB以上)


図3.の回路図での特性。AM帯域でも-20dB以上、14MHzで-45dBとれている。


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